やっかみが
人間を美しくすることはありません。
素敵だな、と思う女性がいたら、
なぜそう思うのか、
わたくしは徹底的に分析します。
「美」とは、本来、
曖昧にしか定義できないのものです。
そして、定義が曖昧であるがゆえに、
「美」とは、
かくも豊かなものとしてあるのです。
新しい関係性の中で、
自分を優位に立たせようとして、
特権的な立場や肩書きを
誇示するような行為は、
誰からみても美しくありません。
高いか、安いかではなく、
「適正であるかどうか」。
この判断を持つことが、
「お金」と付き合う姿勢であり、
最大のセンスとなります。


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叶 恭子

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本が出たあとのことで、
私の記憶にいつまでも残っていることがふたつ。

ひとつめは、某子ども新聞で、利発そうな中学生記者が
叶さんにインタビューしたときのこと。
いくつか本についての質疑応答が終了したのち、
その女子は、みずからの「友人」のことで、
叶さんにおそるおそる、
でも緊迫した表情で、アドバイスを求めていた。

聞いていると、
ずいぶんと勝手な友人に振り回されている様子。
それでも、きまじめそうな彼女、
ひととおり説明をすませたのち、
これからどうやってつきあっていくべきなのか、
と叶さんに問いかける。

その直後、「切りなさい」とひとこと、
叶さんの美しい口もとから言葉が飛び出す。
「へ?」私とその中学生は、同時につぶやいた。
叶さんが続ける。

「あなた自身をそのように緊張させ、
 困惑させる人間を、あなたはそれでも
 「友人」と呼ぶのですか。私にはわかりません。
 すぐに切るべきです」。

もうひとつは、某ブックフェアに参加したときのこと。
二十歳そこそこくらいの大柄で
でもどこかフェミニンな香りのする男性が、
レジにこの本をもってきてくれる。
「ありがとうございます」と感謝すると、
突然こんなことを話してくれた。

「僕の姉が離婚して、かなり毎日鬱々としているんです。
 なんか励ましてあげたいなと思っていたんです。
 叶さんはメディアでは色物扱いされてたけど、
 なんだかそれだけじゃないって気がしてたんです。
 この本さっき立ち読みして、
 あ、これならいまの姉を
 元気づけられるんじゃないかって思って」。

(編集担当・清水檀+坂本裕美)

2010-05-25-TUE


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